軽井沢 虫食い別荘地再生へ道 国有地などの活用進めるモデル事業へ

 別荘地の環境を守りながら空き地になっている国有地などの活用を進めようと、長野県軽井沢町は、国土交通省などと連携し現況調査を始める。都市再生本部(本部長・小泉首相)が6月30日に発表したモデル事業に選ばれ、国の直轄事業として進めることになった。開発業者や専門家と意見交換し、環境保全を図りながら、利用促進策を探る。


 千ヶ滝地区。大正初期から始まった民間の別荘地開発が、現在も続く。690万平方メートルに5200区画ある。昭和30年代に開発された一角(通称 千ヶ滝西区)に、「売地」の看板が目につく。建物が取り壊され門柱だけが残っていたり、草や木が伸び放題になっていたり。十数件が千ヶ滝西地区に集中している。相続税の物納などで国有地となった元別荘だ。
 不動産関係者は「何でここに集中しているのかなあ」と首をかしげつつ、「売地の看板がいっぱいあると、イメージが悪いし、国有地は比較的割安で、相場も荒れる」と困り顔だ。国有地を買う際は落札・契約後、すぐに全額を支払わなければならない点や、入札や契約の手続きが、不慣れな素人には難しい点などが嫌われて、なかなか売れないと分析する。
 同町によると、今年4月現在、町内に55ヵ所、計12万6千平方メートルほどの国有地が、虫食い状態で点在する。買い手がつけば、年間2千万円の固定資産税の収入増が見込めると、試算する。
 一方、97年の長野新幹線開業で首都圏から1時間余りになり、通勤圏としても注目されるようになった。マンションの建設計画が次々に持ち上がり、反対運動も起きた、
 93年〜96年にはゼロだったマンションの建築確認申請が、97年〜01年には計800戸近くまで急増した。町内のマンションが約2100戸だから、約4割がこの4年分にあたる。町は01年暮れ、規模などに一定の制限をかける規制策を取り、02年に再びゼロに戻した。
 町は、未利用地の処分、活用を、マンション開発とは別の形で進める必要に迫られていた。

環境に配慮した開発を目指す

 今回の事業は、都市再生本部が意欲的な街づくりへの取り組みに対し、調査費を出す「全国都市再生モデル調査」の一環。566件の応募があり、6月30日に軽井沢町を含む162件が選ばれた。国の事業を自治体やNPOなどの団体に委託する形で、10億円の調査費を配分する
 都市再生本部は、軽井沢町の提案を選んだ点について、「高級別荘地としてのブランド力、雰囲気を守りながら町の再生を目指すモデルとして、意味は大きい」という。
 同町は、国有地や未利用別荘地がどれぐらい、いつごろからあるのか、また、活用状況などを調査、分析する。調査結果を踏まえて、国交省や趣旨を理解する開発業者、専門家らと連携し、環境や景観に留意した開発方法を検討する。業者に持ち寄らせた開発プランを検討し、優先的に土地を売る案なども検討される見込みだ。
 しかし、国有地の処分は、町の裁量ではできない。財務省によると、国有地の売却価格は、公示地価などをもとに不動産鑑定士が評価し、同省が決定する。一般競争入札で行なわれ、最低落札価格以上で、最も高い金額で入札した者に売る。
 同省は、国有地売却を促進するため、個人でも買いやすいように、02年から最低落札価格を入札前に公開している。同町は、価格の引き下げなど売却条件の特例を望んでいるが、財政法上、認められない。また、分割払いなどの特例についても厳しい状況だ。
 都市再生本部は「財政当局に特例を認めてもらうのは難しいが、アイデアを出していきたい」としている。

2004年7月11日 朝日新聞

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