この計画は江迎町並びに長崎県北松地域における地域活性化と文化活動の拠点となるように計画された施設である。

建築の主要機能は、523人収容の音楽コンサートを主体としたメインホールと、200人のキャパシティを持つ多目的なコミュニティホール、及び管理事務・楽屋スペースから成り立っており、それらの領域を結ぶエントランスホールには、幾何学的な構成にもとづく流動的な空間性が与えられている。

特にメインホールには、左右非対称の構成と、昼光を採り入れた斬新なデザインがなされており、音響的にもこの規模のホールには珍しく、残響時間が1.8秒（反射板セット時・500・）と長めで、防音性能とあわせて優れた計測結果が得られていることから、今後の広範な利用が期待されるところである。また、ステージの音響反射板は可動式で、それを取り除くことによって演劇や講演会等の多目的な文化活動にも対応することが可能となっている。

敷地は、江迎町潜竜地区の炭鉱跡地、約1haの平坦地で、今後の発展が期待される同町の東端部に位置している。

本計画では、敷地全体をこの新しいエリアの中心となるように公園化し、建築には全方位から視覚的にとらえられる景観特性を考慮して、円形のフォルムが与えられており、これは内部にも変化に富んだ空間効果をもたらしている。